おおきくなったら
「りさちゃん。おたんじょうび、おめでとう。
おおきくなったら、なにになりたい？」
あるたまごからは、あおむしがうまれる。
あおむしは、さなぎになったあと、ちょうにかわる。
べつのたまごからは、おたまじゃくしがうまれる。
そのうち、しっぽがきえて、てあしがはえて、かえるになる。
またべつのたまごからは、ひよこがうまれる。
そして、いつかみんな、にわとりになる。
たまごは、どんどんすてきになるための、さいしょのかたち。
ねこは、うまれたときから、ねこのかたち。
おおきさは、ちがうけれど。
ごまふあざらしは、うまれたときから、ごまふあざらしのかたち。
いろは、ちがうけれど。
わたしは、うまれたときから、わたしのかたち。
なにも、できなかったけれど。
わたしたちは、うまれたときから、すてきなかたち。
おかあさんとわたし。ちがうのは、おおきさだけ？
おかあさんは、おりょうりがじょうず。そうじやせんたくもできる。
おかあさんは、おけしょうをする。
いえにいるときと、そとにでかけるときは、ちがうふくをきる。
おかあさんは、おっぱいがおおきい。だいじなところに、けがはえている。
「おおきくなったら、なにになりたい？」
「がっこうのせんせい」
「おはなやさん」
「やきゅうせんしゅ」
「かいしゃのしゃちょう」
「およめさん」
おかあさんは、おおきくなったら、おかあさんになろうと、おもったのかしら？
続きは短篇集でどうぞ。