ホットケーキ
あるひ、ハンスはホットケーキがたべたくなりました。
そこで、おかあさんにホットケーキをつくってくれるようにたのみました。すると、おかあさんは、
「ああ。ホットケーキはおいしいから、わたしもたべたいねえ。
でも、あいにく、こむぎこがないから、つくれないんだよ」
と、いいました。ハンスは、こむぎこをかいにいきました。そして、いえにかえっておかあさんに、
「ホットケーキをつくって」
と、おねがいしました。ところが、おかあさんは、
「ああ、そうだ。ミルクがなかったんだ。ミルクがなきゃ、ホットケーキはつくれないよ」
と、いいました。ハンスは、いそいでミルクをかいにいきました。
「おかあさん、ミルクをかってきたよ」
でも、おかあさんは、ミルクをうけとりながら、
「ねえ、たまごがないよ。たまごがなきゃ、ホットケーキはつくれないねえ」
と、がっかりしました。ハンスは、また、たまごをかいにでかけました。
いくときはおおいそぎではしって、かえりにはたまごをわらないように、こばしりで。そして、いえにつくと、
「おかあさん、ホットケーキ。おねがい」
と、いいました。しかし、おかあさんはいいました。
「ああ。はちみつがなかったよ。あの、とろりとしたはちみつがないと、ホットケーキはおいしくないからねえ」
ハンスは、がっかりしてなきだしました。
すると、おかあさんは、ハンスをいすにすわらせて、よくいいきかせました。
「おまえは、すぐにとびだすからいけないんだよ。
かいものにいくときには、ほかにひつようなものがないか、ちゃんとかんがえなくちゃ。
いろんなものを、いちどにかってきたほうが、りこうじゃないか」
でも、もうハンスはつかれてへとへとです。そこで、おかあさんがはちみつをかいにいくことになりました。
続きは短篇集でどうぞ。