ここさんのお茶の時間
「とん、とん、とん」
ここさんが、お茶でも飲んで、ちょっと休憩しようと思っていた時、ドアをノックする音が聞こえました。
開けてみましたが、だれもいません。風だったのかなと、しめました。
ところが、部屋へもどるここさんの足元に、小さなねずみがいたのです。
「こんにちは。おじゃまします」
なんて、すましています。洋服を着て人間の言葉を話す、おぎょうぎのよいねずみです。
ここさんは、一人でたいくつしていました。
だから、この急なお客さまを、前からやくそくしていたお友だちのように、
ようこそいらっしゃいましたと、かんげいしました。
ねずみには、どんなカップがいいかしらと、しょっきだなの前で考えていた時です。
「とん、とん、とん」
ノックの音がしました。ドアを開けましたが、だれもいません。
しかし、ここさんは、すばやく下を見ました。
思ったとおり、そこには、おめかししたりすがいました。
「ここさん、こんにちは。お茶のおともに、くるみのクッキーを持ってきました」
ここさんは、こんなに近くでりすを見るのは、はじめてでした。
なんてかわいいのでしょう。もう一つ、小さなカップをさがしました。
りんごのかおりのお茶をいれようかなと、思っていた時です。
「とん、とん、とん」
また、だれか来たようです。ここさんがドアを開けると、うさぎがいました。
「ここさん、お茶をごちそうしてくれるんですって。
これ、にんじんケーキです。いっしょに、いただきましょう」
今日は、かわいいお客さまがたくさんです。
おまけに、おいしそうなおかしもあります。
ここさんは、すっかりうれしくなりました。
「みんな、今日はどうしてわたしの家に来たのかしら。
でも、こんなかわいいお客さまなら、大かんげいだわ」
そう言った時です。
「とん、とん、とん」
「今度はだれかしら」
続きは短篇集でどうぞ。