水色ちゃんのこと
あたし、水色ちゃん。きれいな色よ。青いパパと、白いママから生まれたの。
あたしの好きなひと、おしえてあげようか。あのね、空色くん。
空色くんは、女の子にとても人気があるの。でも、空色くんはあたしがいちばん好きだって。
あたしたち、お天気のいい日には、いつもいっしょにあそんでいる。
みんながいろいろ言うけれど、あたしたち「ずっとなかよしでいようね」って、やくそくしたの。
ある雨の日、あたし、どうしても空色くんにあいたくなった。
このごろは雨ばかりで、ぜんぜんあえなかったから。それで、かさをさしてあいにいったの。
トントン、ってドアをたたいたら、空色くんが、ぐあいがわるそうな顔をして出てきた。
グレーちゃんにそっくり。あたし、すごくびっくりした。
「どうしたの？」
ってきいたけど、
「べつに、なんでもないよ」
って。ふたりのあいだに、かくしごとはないはずでしょうって、あたしがプンプンおこっていたら、
「水色ちゃんこそ、きょうはいつもとちがうみたいだね」
だって。グレーちゃんは、あたしみたいにおこらないのかしらって、おちこんじゃった。
にっこりしようと思ってかがみを見て、またびっくり。あたしの顔も、グレーちゃんみたいな色なの。
体はとっても元気なのに。
空色くんも、いっしょにかがみを見たら、ふたりの顔色はなんだかおんなじみたい。
元気なのに、おかしいねってわらった。
でも、いつものきれいな水色の顔を見せられなくて、あたしはずかしかった。
続きは短篇集でどうぞ。