ねねちゃんのしんぱい

あしたは、ねずみのねねちゃんのたんじょうびです。

ねねちゃんは、おともだちにパーティーのしょうたいじょうをかきました。

「あした、わたしのたんじょうパーティーをします。ぜったいきてください。ねね」

はじめに、すずめさんのいえにいきました。

すずめさんは、あさごはんをさがしにいっていて、るすでした。

ねねちゃんは、ポストにしょうたいじょうをいれておきました。

つぎに、りすくんのいえにいきました。

りすくんは、だいすきなりすちゃんとのおしゃべりにむちゅうで、ねねちゃんがきたことにきがつきません。

おじゃましたらわるいとおもったねねちゃんは、しょうたいじょうをポストにそっといれました。

それから、うさぎさんのいえにいきました。

うさぎさんは、ちょうどおばさんのいえにおでかけするところだったので、

ねねちゃんにきがついたのに、「またあとでね」と、はしっていってしまいました。

ねねちゃんは、うさぎさんのポストにしょうたいじょうをいれました。

きょうは、みんないそがしそうです。

もりには、もっとたくさんのおともだちがいたけれど、

ねねちゃんはもう、ほかのひとにしょうたいじょうをだすのをやめました。

だって、なんだかとてもつかれてしまったから。

すこしおひるねしてから、ねねちゃんは、

のはらにはなをつみにいったり、きのみのケーキをやいたりして、いちにちをすごしました。

つぎのひのあさ。

ねねちゃんは、わくわくしながら、おともだちがくるのをまっていました。

十じになりました。まだ、だれもきません。

ねねちゃんは、へやのクッションをぽんぽんとたたいたり、かびんのみずをかえたりしました。

十二じになりました。だれもきません。

ねねちゃんは、おなかがすいたので、すこしだけ、ごちそうのチーズをかじりました。

三じになりました。それでも、ねねちゃんはひとりぼっち。

めのまえのおいしそうなケーキは、みんなでたべるのです。

おちゃをのむだけで、がまんしました。

とうとう七じになりました。

よるには、ちいさなどうぶつは、そとをあるきません。

かびんのはなは、したをむきました。ケーキはつめたくなりました。

ねねちゃんは、ベッドにもぐりこみました。

そのつぎのひ。

ねねちゃんは、すずめさんのなきごえで、めをさましました。

まどをあけたねねちゃんがみたのは、すずめのき。

いいえ、たくさんのすずめさんが、えだというえだに、すずなりにとまっていたのです。

「みんな、どうしたの？」

いっぺんにめがさめた、ねねちゃんがききました。

「ねねちゃん、おたんじょうびおめでとう」

すずめさんたちが、うたをうたってくれました。

「でも、わたしのたんじょうびは、きのうだったのよ」

「え？　だって、きのう、しょうたいじょうをくれたじゃない。

『あした、パーティーをします』って。だから、みんなをさそってきたのよ」

ねねちゃんは、やっとわかりました。

おとといのみんなは、いそがしくて、しょうたいじょうをよめなかったのです。

きのうポストをのぞいて、しょうたいじょうをみつけたおともだちは、

ねねちゃんのたんじょうびは「あした」だとおもいました。

だから、きのうはこなかったのです。

すずめさんたちは、ねねちゃんがだまっているので、おこっているのかなとおもいました。

だれだって、おたんじょうびをひとりですごすのは、さみしいものですから。

すずめさんたちは、ひそひそそうだんしました。そして、ねねちゃんにいいました。

「わたしたち、もりのみんなに

『いちにちおくれたけど、ねねちゃんのおたんじょうびパーティーをします』

っておしえてくるわね」

ねねちゃんのかおが、ぱっとあかるくなりました。

「ありがとう。すずめさん。パーティーは、もちろん『きょう！』っていってね」

いっせいにとびたつすずめさんをみおくると、

ねねちゃんは、たくさんのおともだちをむかえるために、またケーキをやきはじめました。