おとうさんのおにぎり

　きょうは、にちようびです。

おさむはせんしゅうから、おとうさんとおかあさんと三にんで、ピクニックにいくやくそくをしていました。

「おかあさん、おきて。はやくおべんとうつくってよ」

　ところが、おかあさんはねています。

「ごめんね。あたまがいたいから、ピクニックは、こんどのおやすみにしましょう」

「えー、やだよ。ずっとたのしみにしてたんだよ。やくそくしたじゃないか」

　おさむがすねると、

「わがままいうんじゃない」

と、おとうさんがしかりました。

　おさむは、よういしていたリュックのなかみを、ぜんぶだしました。

おかし、しきもの、タオル、くうきをいれるとふくらむボール、きがえ。

すいとうは、あさ、おちゃをいれればいいように、ちゃんとあらってありました。

あとはおべんとうだけあれば、すぐにいかれたのに。

　おとうさんがそばにきて、ゆかにひろがったものをみています。

「すごいな。きのう、おとうさんがかえるまえに、よういしてたんだね」

　おさむは、しらんぷりをしていました。おとうさんは、そんなおさむのかおをのぞきこんでいいました。

「おさむ、おとうさんがおにぎりつくってやろうか？」

　おさむのかおが、ぱっとかがやきました。

「え？　おとうさん、つくれるの？」

「つくれるさ。おかあさんは、しずかにねかせておいてあげよう。

ふたりでピクニックだよ。おべんとうは、おにぎりだけでもいいかい？」

「うん。いいよ」

　おさむは、さっきだしたばかりのものを、またリュックにつめました。

「いってきまーす」

　おかあさんは、よこになったまま、「きをつけて」と、てをふりました。

続きは短篇集でどうぞ。

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