しっぽのきもち
けさ、ぼくは、みょうなきぶんでめがさめた。
おねしょをしちゃってこまったなとか、ねびえでおなかがいたいよとか、そういうかんじとはちがう。
ベッドにこしをおろしたときに、それがなんだかきがついた。
ぼくに、しっぽがはえていたのだ。
おそるおそるパンツをおろし、ぼくはおしりをかがみにうつした。
すこしふとくてながいしっぽは、ぼくのこころとおなじように、
「なぜここにあるのか」と、かんがえるようにかたむいていた。
ぼくは、しっぽをひっぱってみた。
いたい！
これは、ゆめではないんだ。ぼくは、しっぽをパンツにもどした。おかあさんには、しられたくなかった。
いつものように「おはよう」といって、ぼくはいそいでごはんをたべた。
しっぽは、なんだかうれしそうに、さゆうにパタパタゆれたので、
ぼくもからだをゆらしたら、おぎょうぎがわるいとしかられた。
しっぽは、シュンとしずまった。
がっこうにいっても、ともだちにはおしえたくなかった。
だってぼくはにんげんなのに、しっぽがあるなんておかしいよ。
だけど、たいいくできがえるときに、となりのせきのこにみつかった。
そのこは、ちょっとおどろいたけれど、だまってぼくにうしろをみせた。
なんと、そのこのおしりにも、みごとなしっぽがはえていた。
よくみると、みんなのおしりもモコモコしていて、しっぽをかくしているのがわかった。
ぼくだけじゃない。
そのあんしんかんは、どうやらしっぽにつたわって、ズボンをとびだしダンスをおどる。
ぼくのしっぽにはんのうしたのか、あっちでユラユラ、こっちでフラフラ、しっぽのダンスがはじまった。
たのしいときにはダンスをするし、かなしいときにはしぼんじゃう。
しっぽは、ぼくらのこころのなかを、なにもかくさずつたえてくれる。
いだいなしっぽ！ すてきなしっぽ！ しっぽにバンザイ！
つぎのあさ、めがさめたとき、ぼくのしっぽはなくなっていた。
どこにいったのか、わからない。みんなのおしりもかるくなってた。
でもきっと、きょうはどこかべつのまちで、しっぽのダンスがみられるだろう。
いつかはきみのところでも……。